竹田ビル

中央区銀座2-11-6 /竣工年: 1932年 /設計: 不詳 /5階

上野方面から来て、銀座の東側を新橋へ抜ける南北の大通り『昭和通り』は、その名の示す通り、関東大震災からの復興を機に計画され、完成した道路です。今でこそクルマの往来が激しく、あまり静かな散歩に適した道路とは言えませんが、開通当時はさぞかし気持ちのいい通りだったに違いありません。

その昭和通りに面したこのビル、瓦屋根を載せていて一見和風に見えますが、これは増築。頭の中で仮に最上階をまるごと取り去ってみると、本来の姿に近くなります。なかなか端正な、いいプロポーションです。

縦長でない窓が並ぶ窓割りは、戦後に建てられる多くのビルに通じるモダニズムの影響を感じさせますが、それ以外の部分は*スクラッチタイル、石張りの一階部分など、昭和初期の雰囲気を色濃く残しています。最大の特徴はその一階部分のデザインで、現在の『ルノアール』の看板の両端の渦巻き模様、エントランスを縁取るアールのついた特別製のタイル(『役物』と呼びます)などが見どころ。このへんはぜひ実物をご覧頂きたいところです。

二階の窓の上に回されている水平線も珍しい部分と言えるでしょう。

再開発ばやりの銀座にあって、数少ない戦前派のビルのひとつです。

*スクラッチタイル: 引っ掻いたような表面のタイルで、平らなタイルとは異なる独特の風合いをもつ。大正から昭和初期にかけて流行した

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