秀吉ビル (日本近代建築総覧 No. 15469)
中央区銀座5-5-14 /1928年竣工 /設計: 三沢良三 /RC造
老舗ドイツ料理店ケテルが入る雑居ビル。ビルの竣工が1928年なら、レストランの創業は1930年。名実ともに昭和初期が味わえそうな場所です。特異なビル名の由来も気になりますが、とりあえず細部を見てみましょう。
ファサードはご覧の通り、クールでモノトーンなテイストです。*ピラスターの上部に2個並ぶレリーフや、縦長窓の間の型で押したような模様がわずかに装飾的なだけ。素っ気ない印象さえあります。
しかも、良くないのが5階の増築部分。古いビルは屋上にもう一階分増築されることが多いのですが、実用上はともかく、視覚上そういう増築は縦横比を崩してしまい、建築本来の美しさを隠してしまいます。
右の写真は、その増築部分を意図的に構図から出してみました。すると、本来意図されたと思われる縦横比の均整や、初めは素っ気ないと感じられた装飾が実はほどよい密度だったことがおぼろげに見えてきます。こういう発見もまたうれしいものです。(2002年2月記)
*ピラスター: 付け柱のこと。壁面から張り出した柱状の突起。