平和生命館(旧菊正ビル)日本近代建築総覧 No.15456 解体

中央区銀座3-2-16 /1932年頃竣工 /設計: 国枝博 /RC造7階


ワンパターンですが、左が1999年、右が2002年の姿です。長らく平和生命の社屋として親しまれてきました。99年の写真には名文句『花には水を 妻には愛を』の垂れ幕がまだ掛かっています。時代錯誤と片付けるのは簡単ですが、それをも超越して何やら哲学的な示唆を感じさせなくもありません。

しかし、昨今の外資導入の波を受けて平和生命は『エトナヘイワ生命』を経て『マスミューチュアル生命』へ変貌し、あろうことか、このビルから出て行ってしまいました。二枚の写真をくらべると、変わらぬのは一階に入っているイタリア料理店『ラ・ヴィータ・デッラ・パーチェ(「平和な人生」の意,伊語)』のみです。
素敵なデザインのビルです。垂直性を強調した付け柱が外壁を激しく躍動させる様子は、ゴシック風というよりアールデコのテイストに感じられます。推測ですが、ビル全体をひとつの幾何学模様に見立てようとしたのではないでしょうか。竣工当時の写真を見ると最上階の増築もなく、下から屋上までこの付け柱が突き抜けているのです。鳥肌が立つほどかっこいい写真でした。それを思うと、現状はいささか不本意な改装がされてしまったような気がします。

設計者の国枝博は大阪を本拠とした建築家で、作品としては濃密なテラコッタ装飾の大阪・八木通商ビル、アールデコの濃密な大分・旧大分農工銀行等が現存しています。(2002年6月記)


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