越後屋ビルディング(日本近代建築総覧 No.15450)

中央区銀座2-6-5 /1931年竣工 /設計: 小川千之助 /RC造6階

越後屋は銀座百店会にも名を列ねる老舗呉服店です。昭和6(1931)年に竣工したこのビルは、もともとは正面ファサード全面に細密な装飾が施されていました。現状は6階に原形を残すのみです。一部にはアールデコと紹介されていますが、遠目にはともかく、近くで見るとちょっとアールデコと言うには不思議な反復模様で、かえってデザインの自由さが魅力と言えます。

東京の昭和初期は震災復興の建築ラッシュの時代で、デザイン的には古典やゴシックなどの歴史様式、アールデコ、F.L.ライト風、近代合理主義(モダニズム)、和風への回帰等の表現が、同時多発的かつ真剣に試みられていた時期でもありました。その時代の建築からエネルギーが感じられるのは、官民を問わず、新たな街作りにかけた先人の情熱がそうさせているように思われます。

今の東京もある意味建築ラッシュではありますが、果たして後世の人を唸らせるような美しい街が残せるのかどうか。それは、とりもなおさずわれわれがどれだけ真面目に街を作ろうとしているか、思い入れを持って街と向き合っているかにかかっているのかもしれません。(2002年6月記)



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